ワイン備忘録2014/8/24

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産地 :アルザス地方

品種 :ミュスカ(Muscat)

生産者:マルセル・ダイス(Marcel Deiss)

醸造年:2011年

価格 :3,500円くらい

購入元:カーヴ・ミツクラ 

 

以前にお店のブログで紹介されていた、"マルセル・ダイス"というアルザスの有名(超有名?)生産者のワインを購入してみた。

 

アルザス地方はフランス・ワインの中でも異色の存在らしく、少なくとも初心者用のワインの本ではアルザス地方には多くのページは割かれていない。フランス・ワインと言うが、フランスの中で言うと北の外れに位置しているし、山を越えればすぐにドイツだ。ソーセージやザワークラウトを食す文化もあるらしく、文化圏としてはドイツに近いのではないか?ただし、主要な酒はビールではなくワインである点、かつての戦争の記憶からアルザス人はドイツ(人)を忌み嫌っている点は、フランスに近いと言えるだろう。(ミシュランの星の数が世界で最も多い美食の町としても知られているらしい。この点もドイツとは異なる点だ)

 

余談だが、どこかのドキュメンタリーで観たのが、アルザス人は人種的にはドイツ人であり、かつてはドイツ語を話していたが、ナチスの記憶からアルザス人はドイツ人に悪い感情を抱くようになったため、かつてのようにドイツ語を話す者は(若い層には)極めて少なくなってしまったという。一方で、(経済的な側面では)フランスより先進国であるドイツと近いという地理的な利点、そして人種的にドイツ人でありドイツ語を理解するという利点を活かしてドイツの経済的な恩恵に与りたいという現実的な問題も出てきているらしい。そして、ドイツ語が廃れた今、ドイツ語を話す習慣を取り戻そうという動きが少しずつ出てきていると・・。これは民族的アイデンティティーの再興というよりは、金の魔力に負けたというほうが正しいのだろう。


Alsace: bilingualism a thing of the past | European Journal - YouTube

 

話が大きく逸れてしまったが、お味の方は、

香り:ゲヴュルツトラミネールを思わせるような花のような香り。

味 :酸味と甘味がバランス良く調和された辛口。微発泡性のため、少し舌に刺激がある。

 

何と言っても花の様な香りが素晴らしいのと、非常に飲みやすい癖の無い味というのが特徴だ。アルザスワインは過去に何回か飲んだことがあるが、どれも非常に親しみやすい味で、「慣れてくれば旨く感じるよ」というものではなく、幼稚園児に飲ませても間違いなく旨いと感じるような万人受けする旨さだ。(決して悪口ではない)

 

有名生産者と言うこともあってお値段が少し張るのと、アルザスのワインは見たところ値段の下限が大きく、上限は小さいような印象がある。少し贅沢して、もう少し上のランクを狙ってもそこまで巨額の投資が必要ではない点が良い。

 

ゲヴュルツトラミネールに代表される、この花の様な素晴らしい香りはブドウの中②存在するモノテルペンに由来するらしい。植物の芳香成分の中で主要なものが、このテルペンというもので種類は多岐に渡る。それとは別に発酵の過程でエステル香が生まれたり、熟成の過程で樽香がついたりと、様々なプロセスで様々な香りが生成される。それを一つ一つ分解して、言語化していくのは容易な事ではないはずだ。

 

この難しい仕事を代行してくれているソムリエの方々には頭が下がる。